経営者の気分で変わる、あってないような就業規則

私が働いたことのある零細企業は、姫路の労務で評判の弁護士に相談する者もいたほど、多くの労務問題に直面していました。残業代の計算方法、有給消化率の低さ、パワハラとも取れるような上司の罵声など、様々でした。特に問題だったのは、労務問題を事前に防ぐためのルールである、就業規則の運用でした。常時10人以上の労働者のいる事業所は、就労規則を作成して労働基準監督署へ届けなければならない、という義務があります。私のいた会社では、建前上はそうしていましたが、実際の運用は出来ていませんでした。具体的な一例では、出張手当については、宿泊を伴う出張で合った場合、一日あたりいくら支給という文言が就業規則には載っていました。総務が給料計算をした際に、今月の出張手当はいくらになると経営者へ報告をし、そのまま支払われることもありましたが、昇給をさせて人件費が上がったり、営業成績がふるわなかったりした場合は、出張手当は出さないということもありました。出張手当は法律において義務ではありませんが、就業規則に記載しているルールが経営者の気分次第で守られていないということに問題があると思います。経営規模が次第に大きくなっていた会社で、なあなあで済ませていた社内の労働環境を整備していかなければならない成長期・転換期だったように思います。